「私が一橋貴明を手に入れられないのなら、他の誰にも渡さない!」栗本寧は歯を食いしばって強く言い放った。
栗本放治は横目で彼女を見た。「何をするつもりだ?」
「もちろん、一橋貴明を手に入れることよ!」栗本寧は自信満々に髪をかき上げた。将来、一橋貴明が自分のものになれば、すべてうまくいく。
そして、栗本寧は確信していた。一橋貴明は必ず自分のものになると。
栗本放治のこめかみが痙攣した。何か言おうとする前に、栗本寧はすでに階段を上がっていた。
血を分けた兄妹なのに、昔も今も、同じ屋根の下で暮らしながら、とても冷たい生活を送っていた。
かつての栗本寧は名声を得るために、一橋貴明の命さえも顧みなかった。今や華やかな生活を送っているが、振り返ってみると、やはり一橋貴明が最高だと思うようになった。