第43章 みにくいアヒルの子

「あれ、あの女性は誰？なぜ一人で来たの？久我若様の知り合い？」誰かが突然言い出すと、皆が一斉に入り口の方を見た。

王丸雪も顔を上げて見た。

久我月がカジュアルな服装で歩いてくるのが見えた。柔らかい長い髪が腰まで垂れ下がり、整った顔立ちには一点の曇りもなく、眉目は冷たくも慵懶な雰囲気を漂わせていた。

照明に照らされた彼女は、まるで光を放つかのように白く輝いていた！

久我月は簡素な服装だったが、その気品のある佇まいは、瞬く間に全ての人の目を引きつけた。

「久我若様、あのお嬢様がお見えになりました！」久我月がミイロの入り口に現れた時点で、まだ中に入る前に、スタッフが楽屋で準備していた久我豪也に報告した。

久我豪也は喜色満面で急いで立ち上がった。「よし、すぐに準備を！」

ネオンに彩られた騒々しいバーでは、男女がダンスフロアで体を揺らしており、その姿は見るに堪えないものだった。

久我月は騒音で頭痛がしそうだった。中村楽を探すためでなければ、こんな場所に居る気など全くなかった。

中村楽はただミイロにいると言っただけで、具体的な場所は言っていなかった。久我月は一通り見回したが、中村楽の姿は見当たらず、眉をひそめた。

彼女が立ち去ろうとした時、王丸雪が駆け寄ってきて、わざとらしく声をかけた。「まあ、デパートで人を助けた女の子じゃない？ここで何をしているの？」

久我月が言葉を発する間もなく、王丸雪のプラスチック姉妹たちが口を開いた。「これが王丸雪が前に言ってた子？こんなに若いけど、成人してるの？」

「未成年で人の手術なんかして、人を死なせて警察に捕まらないか心配じゃないの？」

「こんな大胆な女の子見たことないわ。最近の若い子は、お金と名声のためなら何でもするのね。本当に恥知らず！」

久我月は冷ややかに王丸雪を一瞥した。一瞬誰だか思い出せなかったが、これらのプラスチック姉妹たちの言葉を聞いて、少し記憶が蘇ってきた。

王丸雪に人を食ったような目で見られ、久我月は邪気な笑みを浮かべた。「精神病！」

「あなた……」

王丸雪は久我月を睨みつけた。

たかが生意気な女の子が、偶然人の病気を治せただけで、何が偉いというの？