第72章 孝行を尽くす

久我月は七男の若様がますます見かけによらぬ悪党だと感じていた。表面上は冷淡で禁欲的な様子なのに、実際は...ちっ!

彼女は眉を上げ、意味深な目で彼を一瞥し、上着を一橋貴明に返して、キャップを被ったまま、ショッピングモールの外へ向かった。

一橋貴明は彼女の後ろをついて行き、無関心そうに目を細め、深い瞳で、手に持っていたタバコを灰皿で消した。

松本旻が車でショッピングモールを通りかかった時、目の端で中を覗き込んだところ、ある人物が目に入った。「おや、華子、あそこにいるの、七男の若様じゃないか?」

中村少華は一瞬固まり、見てみると、目を見開いた!

まさしく、久我月の後ろをぴったりとついて歩いている男は、彼らの賢明で威厳のある七男の若様ではないか?

七男の若様を見間違えることはあっても、久我月を見間違えるはずがない。