そして、画面には年老いているが慈愛に満ちた顔が映し出された。
老人は黒い唐装を着ていて、すでに六十歳だったが、まだ黒髪を保ち、顔にもそれほどしわがなく、とても元気そうに見えた。
これは安田家の大御爺さんだが、彼は安田家の分家の人で、化学界で非常に高い業績を上げており、久我月の師でもあった。
老人がずっと黙っているのを見て、久我月は牛乳を一口飲んで尋ねた。「おじいさん、どうして黙っているの?」
「ああ……」
安田大御爺さんは先ほど考え事をしていたが、久我月の声を聞いてようやく我に返り、日夜思い続けていた少女を見て、目が潤んだ。
彼は感動して久我月を見つめた。「月瑠や、やっと私の電話に出てくれたね。」
久我月は演技の上手な老人を見て、「……何かご用ですか?」
「いつ帝都に来るんだい?もう随分と私に会いに来てないじゃないか。」