そのとき、伊藤おばさんはちょうどお茶を持って書斎に向かおうとしていて、鈴木静海と中村楽が玄関に立っているのを見かけました。中村楽は鈴木静海の服を着ていて、彼女は何かを察したようでした。
「申し訳ありません、楽さん。今朝小雨が降って、テラスから窓が開いているのを見たので、閉めに行ったんです。窓際の物干し台に掛かっていた服が濡れていたので、洗濯してしまいました。まさか…」
伊藤おばさんは不安そうに中村楽を見つめました。
鈴木静海は頷いて、当然伊藤おばさんを責めることはなく、昔の恋人同士のように中村楽の肩を抱き寄せて言いました。「部屋に戻ろう」
中村楽は鈴木静海に主寝室へ連れて行かれ、こうして抱かれていると心が落ち着きました。
しかし先ほどの出来事を思い出すと、額が熱くなり、恥ずかしそうにつぶやきました。