「月瑠、これ全部一人で頼んだの?」一橋貴明は自然に久我月の隣に座り、優雅な笑みを浮かべた。
「うん」
久我月は足を組んで、もう一方の手で箸を持ち、まるでボスのような座り方で、とても豪快だった。
一橋貴明は穏やかな目つきで、深い眼差しで久我月を見つめ、彼女の器に手羽先と酢豚を取り分けた。「こんなに食べられるの?」
久我月は小山のように盛られた器を見て「……多分」
「最近仕事に行ってないの?」一橋貴明は何気なく尋ね、使い捨て手袋をつけてエビの殻を剥き始めた。
久我月は豪快に眉を上げ、その整った顔立ちは人を畏怖させるほどだった。「名義上だけよ。気分が良ければ行くし、悪ければ寝てるわ」
「ゴホッ……」
七男の若様はむせて、ウェットティッシュで唇を拭い、気品高く冷たい態度で尋ねた。「今夜、時間ある?」