第139章 恋の香り!

遠洋グループとの今回のプロジェクトは大きな案件で、各部門の幹部たちは慎重に対応していたが、この方だけは相変わらず落ち着いていた。

彼らは中村少華の気性をよく知っていたが、催促する勇気もなく、仕方なく中村静加にドアをノックさせた。

「何を急ぐんだ」

中村少華は冷ややかに言い、全く焦る様子はなかった。

中村静加:「……」

彼はソファに腰を下ろし、スマホをいじり始めた。外では幹部たちが首を長くして待っていた。

コーヒーを飲み終わってから、やっと中村少華は立ち上がり、椅子の背もたれに掛けていたスーツの上着を手に取った。中村静加は彼の後ろについて行った。

中村少華がようやく出てきたのを見て、外で待っていた人々は慌てて笑顔を作って挨拶した。中村少華は軽く頷いた。

エレベーターに乗り込むと、皆は息を殺し、まともに呼吸もできないほどだった。中村少華の機嫌を損ねないように気を付けていた。