第182章 この薬丸は飲んではいけない

「もうすぐお母さんの命日だけど、帰ってくるの?」

久我月の気だるげな表情が一瞬で引き締まり、その番号をブロックした。

そして、携帯をしまって居眠りのふりをし、大物を怒らせてはいけないという様子を見せた。

一橋貴明は不思議そうに眉を上げた。この子、機嫌が悪いのか?

彼は関わらない方が賢明だと判断した。

車はすぐに栗本放治の家に到着した。

栗本放治は寡黙な性格で、両親との同居を好まず、病気になってから一人暮らしを始めていた。

一橋貴明は久我月を連れて別荘まで案内した。栗本放治はソファーで新聞を読んでおり、久我月はスマホでゲームをしていた。

食事の時間になり、栗本放治はまだゲームをしている久我月を見て、静かに言った。「お嬢さん、食事の時間ですよ。」

久我月は顔も上げずに冷たく答えた。「お腹が空いてるなら先に食べて、私は餓死しないから。」