第207章 この大ブタ野郎！

「この若い娘は次郎様の……」豊田社長は試すように百里紅裳を見た。

中村少華に恋人がいるという話は聞いていなかったので、契約の話し合いを機に、自分の娘を連れてきたのだ。

別に身分不相応というわけではない。名家の若旦那たちを見渡しても、実は自分の娘と釣り合う相手は少なくないのだ。

しかし鈴木静海と中村楽の件は周知の事実だし、鈴木家の三男は体が弱く、豊田社長も考えられなかった。

中村少華は百里紅裳の肩を抱き、軽く頷いた。「この子は落ち着きがなくてね、遊びに連れてきたんだ」

彼は百里紅裳の身分を明かさなかったが、豊田社長はこの様子を見て全てを理解した。「なるほど」

元々、豊田真央を見合いに連れてきた時、彼女は気が進まなかったが、中村少華を見てからは、良い印象を持った。

もし中村少華が嫌がらなければ、試してみてもいいと思っていた。