一橋貴明は落胆して溜息をつき、ゆっくりと言った。「基地で事件があったそうだ。上層部は怒っていて、すでに調査を始めている。月瑠、不要な外出は控えめにね、巻き込まれないように」
それを聞いて、久我月は美しい眉を上げ、無関心そうに尋ねた。「なぜそんなことを私に言うの?」
まるで一橋貴明は自分の腹の中の虫のように、何でも知っているような気がしてならなかった。
彼女は、いつか駆虫薬でも見つけて、その虫を退治してやろうと考えていた。
一橋貴明は意味ありげに笑って言った。「この前、チップの話をしていたから、君が興味を持っているのかと思って、ついでに教えただけだよ」
久我月は自分の秘密が知られているような気がして、少し苛立ちを覚えながら冷たく返事をした。「ふーん、興味ないわ」
「月瑠、夜はちゃんとご飯を食べるんだよ……」一橋貴明は色々と注意を与えた後、電話を切った。