第217章 金がかかりすぎる

彼女は裳と中村少華が一緒にいることを前から知っていた。前回、久我月も二人を見かけたのだ。本来なら久我月は彼女の記憶を呼び覚ましたかったのだが。

でも考え直してみると、呼び覚まさなければ、大きなお年玉がもらえるかもしれない。

百里紅裳の記憶を呼び覚ましたら、この小さな借金取りは毎日久我月からお金を要求してくるだろう。

久我月は最近とても貧乏で、あの子たちの実験プロジェクトがあまりにもお金がかかりすぎて、甥っ子に「身売り」するところまで追い込まれていた。

……

栗本放治はすぐにチップが盗まれたという知らせを受けた。

秘書は知らせを受けるとすぐに栗本放治を探し、深刻な面持ちで言った。「三男若様、大変です。基地のチップが盗まれました!」

「四男若様がちょうどそちらに行かれた直後にチップが消えました。基地側は四男若様が盗んだのではないかと疑い、四男若様を拘束しています。」