「後で座りましょう。先に着替えてきて」
「まだ着替えるの?」
鈴木月瑠は心が折れそうになった。
トニー先生は説明した。「まだメイクもしていないし、スタイリングも完全には終わっていません。最後にイブニングドレスに着替えます」
ああ。
それならいい。
メイクは早く終わった。実はトニー先生がどうしていいか分からなかったからだ。
彼らはトップスターのために専門的にサービスを提供していて、数え切れないほどの顔立ちを見てきたが、鈴木月瑠のような、骨格の美しさ、一目見て魅了され二度見ると魂を奪われるような美しさは、本当に見たことがなかった。
月瑠にファンデーションを塗ろうと思っても、塗ってしまうと月瑠本来の肌の方が綺麗に見えてしまう。
コンシーラーを使おうとしたが、彼女の肌には毛穴すらなく、ただ繊細な表情があるだけだった。