第317章 私はあなたのお母さんじゃない

中村楽は話を聞いているうちに、表情が真剣になってきた。「つまり、大村つきは今、この辺りの無人地帯に連れて行かれた可能性があるということですか?」

中村桑の話から、中村楽はそのような結論に至った。そしてその可能性が高いことを深く理解し、心がより重くなった。

中村桑は頷き、意味深な口調で言った。「私たちは札幌市内を何度も探しましたが、見つかりませんでした。」

「ナンバープレートを付け替えた車も調べましたが、監視カメラに最後に映っていたのは、無人地帯の端でした。」

もし大村つきたちが札幌市を離れていたら、中村桑たちにも見つける術はない。

中村楽はその場に立ち尽くし、不穏な空気を纏いながら、少し間を置いて言った。「池田隊長に連絡してきます。皆さんは引き続き捜索を続けてください。」