第367章 カササギの巣を横取り？

一分経って、やっと確認できた。鈴木月瑠は彼のIPアドレスを完全には見ていなかった。

一橋貴明は鈴木月瑠の袖を引っ張り、低い声で言った。「禾風ミルクティーと酢豚と鶏の煮込みがあるよ」

鈴木月瑠：「いいわ」

どうやら今生は、酢豚とミルクティーのために頭を下げることになりそうだ。

階段を降りる時、一橋貴明は彼女の柔らかい手を握りながら、何気なく尋ねた。「さっき私が突然切断したゲームのこと、考えてる？」

「違うわ」

鈴木月瑠は冷笑して言った。「あの巣を奪った老いぼれカラスのことを心の中で罵ってたの。もう少しでIPアドレスが分かるところだったのに」

一橋貴明は階段から転びそうになった。「……」

鈴木月瑠は急いで一橋貴明を引き留めて言った。「年を取って足腰が弱くなったの？なんでそんなに動揺してるの？」

一橋貴明：「……」

巣を奪った？

彼は実力で上司の座についたはずなのに、どうして巣を奪ったことになるんだ？

一橋貴明は心を落ち着かせ、鈴木月瑠との仲を深めようと、さりげなく口を開いた。「話を聞かせてよ」

鈴木月瑠：「インターポールの特殊捜査課って知ってる？」

一橋貴明：「聞いたことはあるけど、詳しくは知らない」

「それは重要じゃないわ」

鈴木月瑠は簡潔に言った。「重要なのは、私の上司の座が奪われて、給料をもらって親のすねかじりができなくなったってことよ！」

一橋貴明は言葉を失った。「……」

特殊捜査課の上司が鈴木月瑠だったとは思いもよらなかった。

彼はその上司が何もせず、怠け者だと思っていたから、その座を奪ったのだ。

まさか……

一橋貴明は何も言えず、弱々しく言った。「でも今の特殊捜査課の上司は、実力で上がったんじゃないの？」

「ふん……」

鈴木月瑠は横目で一橋貴明を見て、目尻を赤らめながら冷笑した。「特殊捜査課なんて普通の人がやれる仕事じゃないわ。仕事は多いのに給料は安い、そんな権限何の役に立つの？」

「私が上司だった時は、仕事しなくても給料はもらえたわ。他の班が仕事したところで、老後の保障になるの？」

「……」

一橋貴明は返す言葉がなかった。

しかし、鈴木月瑠がこの上司をブラックリストに入れたことは感じ取れた。

彼は密かにため息をつき、特殊捜査課から退職する方法を考えなければならないと思った。