第376章 誰一人として逃がさない

これだけのカメラの前で、彼は平然と「俺」を連発し、これらの蠅どもを全く眼中に入れていなかった！

記者たちは呆然としたが、誰も動かなかった。

みんな法の裁きを恐れない群衆心理に頼り、鈴木静海が公然と行動を起こすはずがないと確信していた。

結局のところ、鈴木家は科学研究の家系であり、軍政の家系でもあり、傍系と嫡系には高官や名士が多く、一挙手一投足が何らかの影響を及ぼすのだ。

鈴木静海は携帯を取り出して小池紀之に電話をかけ、外の記者たちを一瞥して、傲慢に冷たく言った：「小池隊長、記者たちが民家に無断侵入して、他人に対して人身攻撃を行っています。来てください」

小池紀之は「あっ」と声を上げ、「すぐ行きます」と言って電話を切った。

彼は30分前に京都に到着したばかりで、この事件について説明するために戻ってきたところだった。中村少華と一橋貴明はまだ国境に残っていた。

鈴木静海からの電話を受けて、小池紀之は水も飲まずに制服に着替えて鈴木家へ急いだ。

車に乗ってから、月瑠にメッセージを送ろうとしたとき、突然ウェイボーで配信されているライブ配信を見つけ、クリックした。

配信で起きている混乱と、鈴木静海が先ほど言った言葉を見て、男は眉を上げた。

戻ってきたばかりなのに、こんなに刺激的なことが起きているのか？？？

鈴木静海は携帯をしまい、冷ややかに皆を見て、一字一句はっきりと言った：「鈴木家で騒ぎを起こす奴は、一人も逃がさない」

彼は執事に目配せをした。

老執事は即座に理解し、正門を開けた。門前に群がっていた人々は、慣性の力で門内に転げ込んだ。

警備員も素早く外に回り込み、まだ外にいた記者たちやスタッフを全て中庭に追い込んだ。

次郎様の意図は明白だった。全員を中に引き込んで、小池隊長が来たら一網打尽にする方が手っ取り早い。

記者たちとスタッフは事態を察知し、鈴木静海が本気だと分かると、反射的に逃げ出そうとした。

しかし、もう逃げられない！

そしてちょうどその時、松原蘭が足を引きずる久我深海を支えながらやってきた。

久我深海はほとんど記者の前に跪くような形で、記者の一人の足を掴んで叫んだ：「助けて！鈴木月瑠が私を殺そうとしています！」

鈴木月瑠：「……」

鈴木静海：「……」

記者たち：「？？？」