第392章 心から喜んで

中村楽は車を地下駐車場に停め、病院の裏口から入った。誰にも止められることなく、すんなりと通り抜けることができた。

警察署から病院までの道のりは近かったが、中村楽の心は虫に這われているかのように、胸が痛くて堪らなかった。

看護師は彼女が山中希美を見舞いに来たことを知ると、眉をひそめた。「鈴木さんの指示で、山中希美への面会は一切禁止されています。」

中村楽は心の中で冷笑し、直接言った。「私は中村楽です。」

鈴木静海が自分に負い目を感じていることも、疑っていることも知っていた。自分の名前を名乗れば、病院が入室を拒否するはずがないと確信していた。

案の定、看護師は一瞬戸惑った様子を見せた。おそらく鈴木静海から何か指示があったのだろう。

彼女が再び口を開いた時、口調は全く違っていた。「山中お嬢さんの病室は12階です。VIPエレベーターを出て、右手の一番奥の部屋です。」