第392章 心から喜んで

中村楽は車を地下駐車場に停め、病院の裏口から入った。誰にも止められることなく、すんなりと通り抜けることができた。

警察署から病院までの道のりは近かったが、中村楽の心は虫に這われているかのように、胸が痛くて堪らなかった。

看護師は彼女が山中希美を見舞いに来たことを知ると、眉をひそめた。「鈴木さんの指示で、山中希美への面会は一切禁止されています。」

中村楽は心の中で冷笑し、直接言った。「私は中村楽です。」

鈴木静海が自分に負い目を感じていることも、疑っていることも知っていた。自分の名前を名乗れば、病院が入室を拒否するはずがないと確信していた。

案の定、看護師は一瞬戸惑った様子を見せた。おそらく鈴木静海から何か指示があったのだろう。

彼女が再び口を開いた時、口調は全く違っていた。「山中お嬢さんの病室は12階です。VIPエレベーターを出て、右手の一番奥の部屋です。」

中村楽は指示通りに山中希美の病室を見つけたが、ドアの前には依然として二人の黒服の男が立っていた。

ああ。

警備員だろう。

この二人は中村楽も知っていた。6年前に会ったことがある。

二人は中村楽が来たことに特に驚いた様子もなく、敬意を込めて挨拶した。「中村お嬢さん。」

中村楽は頷き、そのまま病室に入った。二人のボディーガードは彼女を止めなかった。

中村楽が入室した後、ボディーガードの一人が携帯電話を取り出して電話をかけた。鈴木静海に連絡しているのかもしれない。

山中希美はまだ目覚めていなかった。全身が包帯で覆われ、手足は支柱に固定されて動けない状態だった。

中村楽がドアを開けて入っても、山中希美は反応を示さなかった。

全身傷だらけの山中希美を見て、中村楽の心は苦しくて仕方がなく、目が何度も赤くなった。

最後には、山中希美の姿さえもはっきりと見えなくなってしまった。

心の中で罪悪感が酸のように湧き上がり、胸が痛んだ。

結局、自分が山中希美を害してしまったのだ!

おそらく鈴木グループの誰も企画案がなぜ漏洩したのか分からないだろうが、中村楽には分かっていた。

これは全て、彼女の仕業だったのだ!

中村楽は手を伸ばして山中希美に触れようとしたが、途中で力なく引っ込め、顔を覆った。

涙は全て掌の中に流れ込んだ。