第543章 デザインの夜

IFデザインコンテストの当日。

三木清スタジオのデザイナーが鈴木月瑠をコンテスト会場に同行した。

鈴木月瑠はマスクとキャップを着用し、綺麗な目元だけを見せていた。

今回、静墨も審査員を務め、彼女は鈴木月瑠の後ろを歩いていた。薄い青のワンピースを着て、優しく上品な雰囲気で、しなやかな体つきを際立たせていた。

鈴木月瑠と静墨以外は全員付き添いとして来ていた。

人数は少なく、四人だけだったが、堂々とした雰囲気を醸し出していた。

ボディーガードが先頭を歩き、記者たちも近づく勇気がなかった。

記者の一人がスクープを狙って、小柄な体を活かして中に押し入ってきた。

「Fの神様、これまでコンテストに出席されなかったのに、今年はQueenのために来られたのですか?」

その言葉を聞いて、鈴木月瑠の足取りが少し遅くなり、優雅な様子で、美しい目元でその方を見つめ、ゆっくりと頷いた。