第541章 私をずっと探していたんじゃないの？

鈴木月瑠は唇を曲げてゆっくりと笑い、無関心な口調で言った。「緊張しないで。ただ夜にちゃんと眠れるかどうか見に来ただけよ」

それを聞いて、一橋貴明の瞳はさらに深くなった。「夜の仕返しのためか？」

「え？」鈴木月瑠は眉を上げ、彼の言う意味がよく分からなかった。

一橋貴明は鎖骨を指差して笑った。「こんなに強く噛んだのに、まだ気が済まないのか？」

「怒ってないわ」

鈴木月瑠は首を振り、真剣な口調で言った。「ただ本気であなたを誘惑したかったの。でも反応してくれなかった」

一橋貴明「……」

彼が振り向いてトイレの電気を消そうとした時、鈴木月瑠が突然近づいて、彼の手首を掴んだ。

一橋貴明は一瞬驚き、彼女を見ようとした時、鈴木月瑠に引っ張られてベッドに倒された。

鈴木月瑠は彼を見下ろし、両手を掴んで頭上に固定した。

彼女はそのまままっすぐに彼を見つめ、その眼差しは色っぽく、少し狂気じみていた。

一橋貴明は目を細めて「鈴木月瑠」と呼んだ。

鈴木月瑠は冷静さを失い、本当に一橋貴明を誘惑したかった。

そして本当に、自分が精血枯渇するかどうかを確かめたかった。

一橋貴明の目に浮かんだ動揺を見て、鈴木月瑠は可笑しそうに唇を曲げ、彼の耳元で囁いた。「知りたいわ。どうしてあなたは私との密接な接触をそんなに怖がるの」

一橋貴明「……」

彼はそれらのことを鈴木月瑠に直接告げることはできなかった。

彼が黙っているのを見て、鈴木月瑠の口元の笑みは次第に凍りついた。沈黙し、彼を30秒近く見つめ、瞳は暗く曇った。

彼女は口角を上げ、立ち上がって去ろうとした。

一橋貴明は一気に鈴木月瑠を引き戻し、胸に抱き寄せ、額にキスをしながら低い声で言った。「薄情者め、怒ったのか？もう行くのか？」

鈴木月瑠は振り返って彼を一瞥し、眉を上げ、艶やかな笑みを浮かべた。「もういいわ。私は目が覚めた。理性的になった。もう寝ないわ」

一橋貴明は鈴木月瑠の顎を掴んで軽く揺らし、優しい声で言った。「薄情者め、君を大切にしているんだよ。まだ若いんだから」

「まあまあ、もうすぐ21歳よ」鈴木月瑠は口角を上げ、意味深な口調で言った。

「自分の年齢くらい分かってるんだな」

一橋貴明の目に深い笑みが宿り、魅惑的な口角の弧を描いた。「本当にそうしたいなら、他の方法を試してみてもいいけど、どう？」