第571章 根こそぎ抜く

一橋貴明は鈴木月瑠の額に触れ、彼女の少し開いた襟元を見ないようにして、低い声で言った：「昨夜はよく眠れた？」

「まあまあね」

鈴木月瑠は目尻を擦りながら、一橋貴明の顔を見て、頭がすっきりした：「いつうちに来たの？」

一橋貴明は低く笑って：「じじと太夫人が食事に来たから、私も当然来なきゃね」

鈴木月瑠はふーんと言って、何も言わなかった。

「食事の後でまた寝よう」一橋貴明は鈴木月瑠の小さな手を握った。

鈴木月瑠は頷き、唇を少し噛んで、一橋貴明を見つめた。その視線は何気ない様子だった。

ほんの数秒余計に見つめただけで、一橋貴明は月瑠の手を軽く握り、目に優しい笑みを浮かべて：「きれいかい？」

「うん、とてもきれい」

鈴木月瑠は軽く頷き、ゆっくりと言った。

一橋貴明は顎を上げて笑った：「よかった、これからゆっくり見てくれ。どこを見たいか、好きなところを見ていいよ」

鈴木月瑠の唇が微かに弧を描き、笑顔が深まって、何気なく言った：「何か暗示してるの？」

最後の言葉を、鈴木月瑠は一字一句はっきりと強調した。

一橋貴明の心は再び揺さぶられ、あの懐かしい感覚が押し寄せてきた。目を細めて笑いながら：「先に食事をしないか？」

鈴木月瑠は鼻先を触り、目に浅い笑みが過った。

……

リビングにて。

鈴木大御爺さんは以前一橋大御爺さんを見舞っていた。

今回は、一橋大御爺さんの歩行が良くなったので、一橋太夫人と共に鈴木家を訪れた。

小池おじいさんと小池おばあさんも来ていて、数人の年配の女性たちは庭で生け花をしながら談笑していた。

小池おじいさんは元気いっぱいの一橋大御爺さんを見て、感慨深げに言った：「一橋じじは三年も寝たきりだったな。縁起でもない話だが、私たち兄弟が再び一緒にお茶を飲める日が来るとは思わなかった」

「その両足でこんなに歩き回れるなんて、以前植物人間だったなんて誰も信じないだろうな」

「月瑠ちゃんは本当にすごいよ」

植物人間が目覚めても、回復には時間がかかるはずで、短期間では日常生活も困難なはずだった。

しかし一橋大御爺さんは目覚めてから半月で、もう歩けるようになっていた。

一橋大御爺さんは上機嫌で、にこにこしながら：「へへ、私もこんな日が来るとは思わなかった。全て私の福だよ、月瑠という素晴らしい孫嫁に出会えて」