第565章 見覚えのある番号

その言葉を聞いて、鈴木月瑠のまつ毛が震えた。

口の中にはまだ一橋貴明の匂いが残っていて、神経が狂いそうだった。

数秒の沈黙の後、鈴木月瑠は唇を噛んで軽く笑った。「決めたわ。」

彼女は眉を上げ、魅惑的な曲線を描いた。

一橋貴明は彼女の手を握り、指先に力を込めた。

「何を緊張してるの？」鈴木月瑠は彼の小さな動きに気づき、意地悪く笑った。

一橋貴明は何も言わず、瞳が揺れていた。

鈴木月瑠は一橋貴明の指で遊びながら、ゆっくりと口を開いた。「お父さんが私を認知したら、あなたが求婚に来て。」

一橋貴明が車のドアを開け、竹内北を呼び戻した時になって、竹内北はようやく振り返ることができた。

先ほど二人がキスをしていた時、竹内北はその場に立ち尽くしていたが、何人もの女の子がLINEを聞きに来た。

全て断ったけれど。

さらに先ほどの列で押し合いへし合いされて、袖はしわくちゃになっていた。

竹内北は運転席に戻り、表情は硬かった。

彼はタピオカミルクティーを鈴木月瑠に渡しながら、かなり不満そうに言った。「義姉さん、次は人が少ない時に買いに行きましょうよ。」

鈴木月瑠はそれを受け取り、ストローを差し込んで、一橋貴明に一口飲ませてから自分も飲んだ。

彼女は足を組んで、より快適な姿勢で座り、だらしなく笑った。「かなりイケメンじゃない、女の子たちに人気があるわね。」

「あ、そうですか。」

竹内北は思わず一橋貴明の方を見たが、彼の表情が暗くなっているのを見て、すぐに言い直した。「いえ、私はイケメンじゃありません。社長こそがイケメンです。」

鈴木月瑠はタピオカミルクティーを一口飲んで、一橋貴明を見たが、その眼差しは淡々としていた。

何も言わなかった。

一橋貴明の視線は彼女の唇に落ち、先ほどの熱いキスを思い出し、喉仏が制御不能に動いた。

彼は紳士的に視線を逸らした。

しかし、しばらくしても...

鈴木月瑠が彼をイケメンだと言う言葉は聞こえてこなかった！

視線が一気に沈み、竹内北の頭に向けられた。

竹内北はバックミラーで一橋貴明の視線と合い、眉間が何度も跳ね、全身に鳥肌が立った。

彼は自分のことをイケメンだと言ったわけじゃない、義姉さんが言ったんだ、彼のせいじゃない...

幸い、ここから鈴木家の屋敷まで、速く走れば20分で着く。