「旦那様はまだ起きていないの?」
竹内北は驚いて目を見開いた。
一橋貴明の生活リズムはとても規則正しいのに、もう日が高くなっているのに、まだ起きていないなんてあり得ない。
鈴木月瑠が来ているとはいえ、彼女と一緒に寝ているわけではないはずだ。
福おじさんは顎で食卓の方を指し示した。「起きていないどころか、朝食も食べていないよ」
竹内北はそちらを見た。「……」
なんてこった。
近くにいる者は影響を受けるものだ。
鈴木月瑠さんは朝食を食べない習慣で、いつもお昼と一緒に補うのに、旦那様はもうこんなに早く妻に合わせているのか?
あ、違った……夫が妻に従うってやつだ。
福おじさんは意地悪そうな笑みを浮かべながら竹内北を見た。「若旦那様は機嫌が悪いから、私たちは起こしに行く勇気がなくて。あなたが見てきてください」