第490章 霊族との縁組

別荘の人々は顔を見合わせ、誰も小春心を助けに行く勇気がなかった。

鳳紅裳は直接小春心の両手の筋を切断し、手首の骨まで折ってしまった。

彼女は小春沙耶を見上げて、笑った。「次はあなたの番よ」

小春沙耶は顔色を変え、目の前の小春心の惨状が脳裏に焼き付いていた。鳳紅裳の声を聞いて、思わず後ずさりした。

「彼女を捕まえろ」小口現が直接命令を下した。

数人の部下が駆け寄って小春沙耶を捕まえた。鳳紅裳が手を出そうとした時、チップが突然反応した。

彼女がチップを取り出すと、鳳古平が彼女に連絡を取ろうとしていることがわかった。

「何よ?」

鳳紅裳は鳳古平との通信を繋ぎ、いらだちながら口を開いた。

そこで痛みで気を失いそうになっていた小春心は、鳳古平が鳳紅裳に連絡を取ったことを知り、必死に頭を上げて口を開こうとした。「若...」

言い終わる前に、鳳紅裳は一蹴りで気絶させてしまった。

大広間は静まり返り、鳳古平の温和な声だけが冷たく響いた。「裳、もう止めなさい」

「止める?」

鳳紅裳は冷笑した。「親愛なる兄さん、あなたは手を引いたの?一橋貴明を連れ去ることを、私に許可を取ったの?」

「鳳紅裳、どうしても私に逆らうつもりか?部外者のために?」鳳古平は怒鳴った。もう我慢の限界のようだった。

鳳紅裳は笑みを浮かべ、目に邪気を宿した。「彼女は私の義姉だって、兄さんが言ったじゃない?」

鳳古平は言葉に詰まり、黙り込んだ。

「兄さん、この借りをどう返してくれるの?」鳳紅裳はゆっくりと口を開き、口角には邪気な笑みが浮かんでいた。

兄妹の仲は良かったが、けじめはけじめ。この件は、鳳紅裳はこのままにはしておけなかった。

鳳古平は深く息を吸い、温和な声音に鋭さを込めた。「小春心はもう廃人同然だ。命だけは助けてやれ。残りは好きにしろ」

「ふーん」

鳳紅裳は眉を上げたが、鳳古平の対応に驚きはなかった。

小春心という犬畜生は人間性に欠けていたが、鳳古平には忠実だった。それに、両手は既に使えなくなっており、殺すのと変わらない。

一方、小春沙耶はこの言葉を聞いて、顔が真っ青になり、唇を震わせて言葉が出なかった。

若君は...完全に見捨てたのだ!

自分の運命は予想していたものの、実際にその言葉を聞くと、小春沙耶はやはり受け入れがたかった。