一橋景肴は頷いて、褒め称えた。「鈴木月瑠の医術は素晴らしい。お祖母さんも三兄も治してくれた」
この会話を聞いて、一橋貴明は眉を上げ、目の奥に細かな笑みを浮かべた。
しばらくして、彼は薬丸を一つ取り出し、一橋景肴に渡しながら、大御爺さんの方を見た。「じじ、薬の時間だ。医者の指示通りにね」
ミルク色の薬丸からはミルクの香りが漂い、かすかな漢方薬の香りも混ざっていた。その香りを嗅ぐだけでも心身がリラックスした。
大御爺さんは薬を飲み込んだ。
薬丸は口の中ですぐに溶け、甘い香りと薬の味が口の中に広がった。
おそらく心理的な効果だろうが、薬丸を飲んだ途端、口の中の苦みが随分和らいだように感じた。
伊藤様たちは新大陸を発見したかのように、一橋貴明が持っている薬瓶を見つめた。「一橋さん、その薬丸を見せていただけませんか?」