第613章 治せるのか

「医学はまだ癌を克服できていないのに、中村沛里にもできないことを、月瑠ができるわけがないでしょう？」彼女はゆっくりと話し、その口調には、無意識のうちに冷たさが滲んでいた。

中村お父さんは一瞬固まった。

鈴木月瑠が外科の名手であることは、帝都では既に周知の事実となっていた。

来る時、中村沛里は鈴木月瑠に頼んでみることができると言ったが、頼めるかどうかは自分次第だった。

中村楽と鈴木月瑠を頼るのは、確かに藁にもすがる思いだった。

「国は抗がん剤さえ開発できているのだから、鈴木月瑠は若くして医術がこれほど優れているのだから、きっと何か方法があるはずだ。」

中村お父さんはそう言い絞り出すと、顔には幾分か恥じらいの色が浮かんだ。

中村楽は繊細な眉目で、さらに淡々とした口調で言った。「治療はできます。でも、これからは二度と私に会いに来ないでください。」