翌日、夜が明けかけた頃、鈴木月瑠がまだ身支度をしている間に、文一はすでに到着していた。
彼女は朝食を作った後、ようやくバッグを持って急いで出かけた。
会社は家からそれほど遠くなく、車で30分の距離だったが、途中で雨が降り始め、少し渋滞が発生した。
幸い鈴木月瑠は早めに出発していたので、始業時間の10分前には会社のビルに到着し、スムーズにエレベーターに乗ることができた。
ポリテク株式会社のマーケティング部は34階にあった。
エレベーターは一階ずつ上がっていき、中間階で停止すると、大勢の人々が出ていった。
そのとき、鈴木月瑠は背中に冷たさを感じた。振り返ると、誰かの傘が自分の服に引っかかり、不意に引っ張られて服が破れ、下着が見えてしまった。
彼女は恥ずかしさで穴があったら入りたい気持ちだったが、エレベーター内の人々がすでに出てしまい、自分一人だけになったことに安堵した。誰も彼女の窮地を目撃していなかった。