「鈴木おばさん、マーケティング部について質問があるんですが、今、私のオフィスに来ていただけますか?」
若旦那の命令なら、時間がなくても時間を作って行かなければならない。
鈴木月瑠はすぐに重要な書類を整理し、エレベーターで最上階へ向かった。
彼女が社長室に入るとすぐに、デスクの上に置かれた豪華なギフトボックスが目に入った。
このボックス、どこかで見たことがある気がする……
近づいてみると、彼女は驚きのあまり目が飛び出しそうになった!
このボックスは、諭知が彼女にプレゼントしたドレスの箱とまったく同じではないか。中身の服も同じものなのだろうか……
「鈴木おばさん、実は贈り物があるんです」
一橋晶は少し照れくさそうに唇を噛み、頬にはかすかなえくぼができていた。
鈴木月瑠はまぶたがピクピクした:「いえ、そんな…功績もないのに贈り物なんて受け取れません…」
「この前、鈴木おばさんが食事に招いてくれたこと、僕にとっては世界で一番幸せなことでした」
一橋晶は感情を表に出すタイプではなく、こんな照れくさいことを言うのは彼にとって精一杯のことだった。
彼は少し赤くなった顔で、テーブルの上のギフトボックスを彼女の方へ押した。
「鈴木おばさんが今夜ビジネスパーティーに行くと聞いたので、これは僕からのドレスです。試してみてください」
そう言って、彼はボックスの蓋を開けた。
「!!」
鈴木月瑠は箱の中のプリンセスドレスの真珠と宝石がちりばめられたドレスを見て、驚愕の表情を浮かべた!
これはどういうことだ?
なぜ朝から、まったく同じドレスを二着も見ることになるのだろう?
「鈴木おばさん?」
彼女の表情を見て、一橋晶はますます不安になった。
彼は今まで誰かに自分から贈り物をしたことがなかった。鈴木おばさんの様子を見ると、気に入ってないのだろうか?
彼は不安そうに服の端を握りしめ、「鈴木おばさんが気に入らないなら、別のものに変えます…」
「そうじゃないの…」鈴木月瑠は表情を整え、できるだけ優しく言った。「今朝、諭知も全く同じ服を私にくれたの。あなたのと…同じものを…」
一橋晶はそれを聞いて、すぐに悔しそうな表情になった。