一橋諭知は不本意そうに口をとがらせ、話したくない様子だった。
しかし実際、心の中では少し嬉しかった。監禁されないということは、日中に外出できるチャンスがあるということだ!
外に出られさえすれば、ママに会える。頭を下げられないことなどない。
そう思うと、彼は小さく「うん」と返事をした。
この傲慢で可愛らしい様子を見て、一橋貴明はどんなに大きな怒りも消えてしまった。
「おばあちゃんが来月誕生日だから、オーストラリアに行っておばあちゃんを迎えに行きなさい」
「オーストラリアに?」
一橋諭知は目を丸くした。
往復で少なくとも5日間、もしおばあちゃんが数日間遊ばせてくれたら、半月はあっという間に過ぎてしまう!
オーストラリアに行ったら、彼とママは地球の両端に引き離されてしまう。