この指輪は、世界に一つしかないもので、一橋貴明はかつて展示会でそのモデルを見たことがあった。
まさか、二度目に見るのがこの女性の指にあるとは思わなかった。
鈴木家の全財産を集めても、こんな高価なものは買えないはずだ。だからこの指輪は、誰かに贈られたものに違いない。
どんな人が、女性に指輪を贈るのか?
もしかして……
彼女の息子の父親?
彼女と関係を持ち、子供までいる男!
鈴木月瑠は周囲の空気が不思議と数度も下がったように感じ、背中が冷たくなった。
彼女は手をしばらく上げていたが、男は何の反応も示さなかったので、仕方なく促した。「一橋社長、手を上げましたが、それで?」
「服を脱げ」
「!!!」
鈴木月瑠は目を丸くし、襟元をぎゅっと掴んだ。
「何をするつもりですか!!」