「ほう?」
林可子は眉を上げ、思わず笑いそうになった。
「そんな言い訳まで見つけられるなんて、鈴木部長、あなたは本当にすごいわね!あなたは以前、大橋新民を誘惑してポリテク株式会社のマーケティング部長になり、今度は大橋新民が異動したから、一橋社長を誘惑しようとしているの?恥ずかしくないの?!」
この言葉が出ると、ロビーを通りかかる人々が次々と振り返った。
先日ポリテク株式会社で起きたスキャンダルは、ここにいる全員が知っていた。
あの事件はネット上で大騒ぎになり、その後、投稿に参加した社員全員が処罰され、多くの人が影響を受けた。
皆は投稿に出てくる大橋社長が誰かは知っていたが、不正な手段で出世した女性を知る人はほとんどいなかった。
林可子がそう言うのを聞いて、見物人たちはすぐに理解した。