第14章 積極的なキス

藤原徹は彼女を三秒間見つめ、喉仏を動かしながら、ゆっくりと茶碗を彼女の方へ押しやった。「本当に食べないの？」

クロシオの質問で彼も考え直した。高倉海鈴との結婚は変則的なものだったが、女性の目から見れば、結婚は二人の親密な関係を意味する。だから海鈴が彼ともっと接触を持ちたがるのも、おかしなことではないのかもしれない。

ため息をつきながら、藤原徹は海鈴の手首を掴んだ。少し諦めた様子で「キスをさせないから、食事を拒否？そんなに意地っ張り？」

高倉海鈴は唇を噛んだ。

味覚が正常な彼には、彼女が何を食べても苦く感じる苦痛が分からないはずだ。

「しょうがない」

藤原徹の大きな手が彼女の手首から滑り落ち、海鈴が気付いた時には、彼は既に彼女の腰を掴み、身を屈めて唇を重ねていた！

高倉海鈴はその瞬間、頭の中が真っ白になった。

「呆けちゃった？」

藤原徹は少し後ろに下がり、熱い息が海鈴の耳元に吹きかかった。「それとも...これがファーストキス？」

高倉海鈴はぎこちなく目を動かし、口を開いたが何も言葉が出てこなかった。

その様子を見て、藤原徹は低く笑い、磁性のある深い声で人の背筋を震わせた。

「大胆なのかと思ったけど...たいしたことないじゃないか」

高倉海鈴は遅ればせながら藤原徹が何をしたのか理解し、しばらく間を置いて唇を噛んだ。

男女関係に鈍感な彼女でも、手を触れることとキスは違うということは分かっていた。

潤んだ瞳をした海鈴を見つめ、藤原徹は背筋が凍った。「ちょっと待って、泣くつもりじゃないよな？」

「泣く？」

高倉海鈴は何年も泣いていない。

彼女は舌打ちをし、突然藤原徹の後頭部を押さえ、顎を上げて彼の唇に再びキスをした！

彼の唇は指よりもずっと甘かった！

予期せぬ出来事に...

おそらく3秒か、あるいは3分か？

とにかく、藤原徹が自分の唇を無秩序にキスしていた海鈴を押しのけた時、彼の呼吸は乱れていた。

「お、お前という女は！」

藤原徹は手近にあったテーブルの胡麻団子を掴んで海鈴の口に押し込んだ。「俺を食べ物として噛んでたのか！」

高倉海鈴は反射的に一口かじった。