第50章 全部捨てる

藤原徹:「執事!死んだのか?私の言葉が聞こえないのか?!」

執事は慌てて我に返り、前に進み出た:「村上さん、奥様、そして村上さん、こちらへどうぞ」

三人は動かなかった。

執事は表情を変えず、軽く腰を曲げた:「村上さん、私どもの若様の性格はご存知のはずです。追い出すように命じられれば、私たちは従わざるを得ません。そうなれば、村上家の面目を潰すことになりかねません」

まずは穏便に話し合おうとしたが、村上勝則たちが聞き入れなければ、執事も多少の強硬手段を取ることも厭わなかった。

村上勝則の表情は一層険しくなった。今や進退窮まり、目的を達成できなかっただけでなく、藤原徹の怒りも買ってしまい、完全な損失だった!

彼は村上真由美と奥様を連れて、みすぼらしく立ち去った。

遠くから、村上真由美の抗議する声が聞こえた:「行きたくない、なぜ行かなきゃいけないの?徹お兄様と結婚できるって言ったじゃない、どうして今は無理なの?嘘つき、大嘘つき!」