第118章 今月の給料なしだ

彼女は自分が必ず成功できると確信していた。男なんて誰も自分を拒めないはず。藤原家の当主だって同じだろう。一度藤原家の当主の夫人になれば、周りの人々は自分をもっと羨むことになる。高倉海鈴のことなんて...ただの犬、自分の思いのままに扱えばいい。

「彩芽、彩芽、何を考えているの？そんなに嬉しそうに笑って」

藤原涼介の声に、高倉彩芽は妄想から我に返った。彼女はすべての思いを隠し、涼介に優しく微笑んだ。「こんなに素敵な別荘を見て驚いてしまって。涼介、さっき何か言ってたの？」

「後で私が先に当主と話をする。当主は女性があまり好きじゃないから、お前のことを聞かれたら答えればいい。それまでは絶対に口を挟まないように」藤原涼介は先ほどの言葉を繰り返した後、続けて「この別荘は当主が世界的な一流デザイナーに依頼して建てたものだから、もちろん素晴らしいよ」

この別荘は地位と莫大な富を象徴していた。

高倉彩芽の目に一瞬光が宿った後、すぐに落ち着きを取り戻した。彼女は軽くため息をつき「お姉さまが来られたらよかったのに。お姉さまはこういう素敵な別荘が大好きなの。きっと幼い頃に苦労したせいで、お金にすごくこだわって、贅沢な暮らしを好むの。だからお姉さまは...」

少し間を置いて、また続けた。「お姉さまがこの別荘を見たら、きっとあんな年寄りで醜い男たちに夢中になったりしないはずよ」

藤原涼介はこんな時に高倉海鈴の名前を聞きたくなかった。彼は高倉彩芽の肩を叩いた。「あまり考え込まないで。彼女が堕落したのは君には関係ない。君はできることをすべてやった。結局は彼女自身が向上心を失って、後戻りできない道を選んだんだ」

高倉彩芽は唇を噛み、落ち込んだ様子を見せた。

そう、高倉海鈴は後戻りできない道を選んだ。でも高倉彩芽の未来は、まっすぐな出世街道。彼女は将来、藤原家の当主の夫人となり、当主の下で万人の上に立ち、皆から敬われる存在になるのだ。

将来のことを考えると、高倉彩芽の笑みはさらに得意げになり、周りの美しく優雅な環境を見渡しながら、彼女の目には必ず手に入れるという光が宿った。

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