第113章 お姉さまは藤原家が大好き

高倉彩芽が渡道ホールに行くなんて、しかも藤原徹が直接招待したなんて……そのとき、彼女の頭に藤原徹から送られたメッセージが浮かんだ。サプライズがあるって言ってたけど、まさか高倉彩芽がそのサプライズだったなんて。

もしそうだとしたら、彼の首を絞めてやる!

他の人たちも驚きから我に返り、次々と感嘆の声を上げた。「高倉彩芽が渡道ホールに招待されるなんて、なんて幸運なの!」

「仕方ないわよ、彩芽が藤原涼介の婚約者なんだから。藤原家の人間なんだし、藤原徹に会えるのも不思議じゃないわ。でも羨ましい!」

「これが噂の門戸釣り合いの才子佳人ってやつ?あの大物も二人が相応しいと思ってるなんて、ああ、なんて素敵な恋愛なの!」

「ははは、見て、高倉海鈴の呆然とした顔。きっとまた彩芽のことを妬んでるんでしょ。でも人それぞれ運命が違うんだから、妬んでも無駄よ」

田中晴香は最初の驚きから立ち直り、高倉彩芽の腕を引っ張りながら不満そうに言った。「彩芽、なんで彼女を渡道ホールに連れて行くの?あの性格で、もしあの方を怒らせでもしたら、あなたに迷惑がかかるじゃない」

高倉彩芽は首を振った。「大丈夫よ。姉さんは強気で頑固なところはあるけど、分別はあるの。道を踏み外したのは、お父さんがカードを止めたせいだと思うの……今、本当の上流社会を見せれば、年上の男性が良くないってことが分かるはず……」

言外に、高倉海鈴が金目当てで年上の男性に囲われているという意味が込められていた。

田中晴香はすぐに理解し、皮肉っぽく言った。「なるほどね。でも彩芽の思惑は外れると思うわ。本当の実力者が高倉海鈴なんかに目もくれるわけないでしょ。年寄りの成金と寝るしか能のない馬鹿な女よ」

「きっと渡道ホールのあの方は高倉海鈴を見た瞬間に追い出すわよ。彩芽、連れて行かない方がいいわ。あんな人間が渡道ホールに行くなんて、渡道ホールへの侮辱よ」