第130章 来る勇気がないのか?

高倉海鈴が教師として一緒に試験を受けるだけでも驚きなのに、試験開始からそんなに経たないうちに答案を提出するなんて?ただの形だけだったのか?

生徒たちの中には高倉海鈴が田中晴香と賭けをしたことを聞いた者もいて、皆、高倉海鈴はプレッシャーで精神的におかしくなったのだろうと思っていた。高倉海鈴は試験会場の生徒たちが自分のことをどう噂しているか知らず、試験会場を出た後、まっすぐ東京大学の資料室へ向かった。前回、藤原徹が自由に資料を閲覧させてくれると約束したが、ずっと時間がなかった。今やっと時間ができたので解決しようと思った。

主に二十年前の資料を調べたかったのだが、二十年前の資料が空っぽだったとは思いもよらなかった……

不思議だ。あの人とあの組織はそれほど神秘的なのか?こんな機密資料まで消せるなんて?高倉海鈴は空の資料箱を見つめながらしばらく考え込んでから、資料室を後にした。

彼女が資料室に行ったという情報は即座に藤原徹の耳に入った。藤原徹は携帯の画面に表示されたメッセージを見つめ、端正な顔に陰りが差した。高倉海鈴は二十年前の資料を何のために調べようとしているのだろうか?

……

翌朝早く、高倉海鈴は料理人が出かける前に渡してくれた朝食を片手に、ゆらゆらと教室に向かった。

まだ教室に足を踏み入れる前から、田中晴香の高慢な笑い声が聞こえてきた。「ははは、高倉海鈴はまだ来てないの?顔向けできなくなったんじゃない?」

昨日の試験が終わってから、高倉海鈴も試験に参加していたことを知り、しかも早々に答案を提出していたと聞いて、これ以上ない喜びだった。高倉海鈴のクラスメートとの賭けに勝つのも気持ちいいけど、直接高倉海鈴を踏みつけるほどの快感はないだろう。

「夢子、そんなことしないで。お姉さんは今とても辛いはずだから、私たち先に行きましょう?」この声を聞けば、高倉彩芽というグリーンティー女というのが分かる。

「そうね、彼女は辛いはずよ。見栄を張りすぎたんでしょ?誰が自信をつけさせたのか知らないけど、よくもこの試験に参加する勇気があったわね。学校が国際大会のために試験の難度を調整したことも知らないの?高倉海鈴みたいな役立たずは、問題も理解できなかったんじゃない?」