藤原徹は会社に行く必要があり、高倉海鈴は途中で降りて、直接クロシオ基地に資料を調べに行った。
基地は郊外にあり、人通りが少なく、監視カメラもないため、人目を避けるのに十分だった。
彼女が車を降りて路地に入ったとき、後ろから突然数人が現れた。
「この女!こいつだ!」
「彩芽を気絶させやがって、こいつに目にもの見せてやろう、彩芽の仇を取るんだ!」
高倉海鈴が曲がろうとした時、突然誰かに体当たりされた。壁に手をついて体勢を立て直したが、指輪が滑り落ちてしまった。
その直後、平手打ちが顔面に向かって飛んできた。
高倉海鈴は身をかわし、冷たい眼差しを向けた。
ここは行き止まりの路地で、逃げ場はなく、五人に前後を挟まれていた。
高倉海鈴は全員を見渡し、冷静に指輪を拾おうとした。
「このクソ女!お前が彩芽を傷つけたんだ!死ね!」
「みんなで一緒に殺そう、ここには監視カメラもないし、私たちが見つかったとしても証拠なんてないよ!」
高倉海鈴が指輪を拾おうとした瞬間、相手がレンガを持って襲いかかってきた。しかし、標的は彼女ではなく、その指輪だった。
藤原徹がくれた指輪!
指輪はレンガの破片に埋もれ、彼らは警棒を持って再び高倉海鈴に襲いかかってきた。
高倉海鈴は目を冷たく光らせ、警棒を掴んで強く引っ張った。
「あっ!」
バキッ!
警棒を持っていた者は手首を押さえ、苦痛の叫び声を上げた。
「くそっ!反撃してきやがった!みんなで行くぞ!」
高倉海鈴は目を細めた。彼らの手には警棒の他に二本のナイフがあり、夜の闇の中で冷たい光を放っていた。
その中の一人の男子は若く見えたが、冷酷な目つきで、ナイフを弄びながら言った。「陸田進がお前に惚れるわけだ、確かに男を誘惑する才能はあるな。でも彩芽を気絶させたんだから、その代償を払ってもらうぞ!」
高倉海鈴はようやく理由が分かった。陸田進が高倉家との提携を解消し、高倉彩芽が気絶したため、彼らが復讐に来たのだ。
彼女は平然とバッグの録画ボタンを押した。今起きていることすべてを撮影できる位置だった。