すぐに、医者が駆けつけ、村上の祖父に注射を打つと、ようやく意識を取り戻した。
村上の祖父は息を切らしながら、疲れ切った目で見つめた。
「徹、本当に彼女のために、私たち二家の長年の絆を壊すつもりなのか?」
「高倉さんが真由美を許さないのなら、私も強制はできません。協力したくないならそれでも構いませんが……」
村上の祖父は一旦言葉を切り、弱々しく言った。「徹、お前が百株以上の金川草を持っていると聞いた。私は今、重病で、まさにこの薬材を必要としているんだ。もし命が長くないと分かっていなければ、お前に頼むこともなかった。お前が私を死なせるわけがないことは分かっている」
高倉海鈴は意味深な笑みを浮かべた。
くだらない話が長く続いた後、やっと本題に入ったわね。感情に訴えかけてくるつもり?
表向きは村上家が謝罪に来たように見えて、実際の目的は金川草だったのだ。
藤原徹は平然とした態度で、最近自分が大量の金川草を持っているという噂が広まっていることを知っていた。
もちろん金川草のことは知っている。それは金では買えない貴重な薬だ。自分が百株以上持っているなんて、自分でも知らなかった。
村上の祖父は期待に満ちた目で藤原徹を見つめ、咳払いをしてから言った。「徹、その金川草は確かに貴重だが、お前は百株以上持っているのだから、私にほんの少しくれても困らないだろう。今の私には命を救うためにその金川草が必要なんだ!昔の恩義にかけて、金川草をくれないか……」
高倉海鈴は首を振った。この村上家の人々は本当に厚かましい。
いつも恩を着せてくる。藤原徹は村上家に十分与えてきたのに、今度は金川草までねだってくるなんて、よくもそんな厚かましいことが!
藤原徹は冷ややかな目を村上の祖父の顔に向けた。やっと分かった。なぜ村上真由美があの薬草を台無しにした後、高倉海鈴が彼女を許さなかったのか。
あれは普通の薬草ではなく、金川草だったのだ。
村上お父さんは説得を試みた。「徹、年齢からすれば、お前は村上おじいさまと呼ぶべきだ。今後付き合いがなくなったとしても、おじいさまをこのまま死なせるわけにはいかないだろう。お前の祖父の顔を立てて、この金川草を……」