第249章 社長の頭が少し緑

藤原徹は高倉海鈴が行けば恥をかくと考えたので、その二枚のチケットを断ったのだ。

きっとそうに違いない!

八尾夢子は心の中で急に晴れやかになり、微笑みを浮かべた。「まあいいわ。彼が行きたくないなら無理強いはしないわ。数日経てば、この件のことなんて忘れてしまうでしょう」

……

渡道ホール。

高倉海鈴は山下涼介の展覧会のことを聞いて、少し驚いた。「彼の展覧会?東京で?」

藤原徹は頷いた。「行きたいか?」

彼女が行きたいと言えば、一本の電話で誰かがチケットを直接持ってくるだろう。八尾夢子の好意など必要ない。

高倉海鈴は目を伏せ、さらりと言った。「いいわ」

彼女は幼い頃から山下涼介の絵を見てきた。彼女にとって特に目新しいものではない。

ただ、四兄さんが東京に来ているのに、なぜ彼女に知らせなかったのだろう。何だかこそこそしている感じがする。