第278章 泥棒が泥棒を捕まえろと叫び、田中晴香は退学処分に

田中晴香は顔色を失い、歯を食いしばって高倉海鈴を睨みつけた。

傍らの副学長がゆっくりと口を開いた。「田中さん、先ほどあなたはコネ入学した者は退学させるべきだと言いましたね。あなたは3億円を払って入学したのですから、学校としてこのような風潮を助長するわけにはいきません。すぐに退学手続きをお願いします。」

「私は試験を受けて入学したんです!あなたは高倉海鈴からお金をもらって、私を陥れようとしているんでしょう!」

そのとき、東京大学の掲示板に誰かが成績表を投稿した。そこには田中晴香の名前と420点という点数がはっきりと記されていた。

副学長は諦めたように言った。「私は当時あなたから3億円を受け取り、特別に入学を許可しました。しかし東京大学の名誉のために、私は責任を取り、自ら過ちを認めます。そしてコネ入学した者も、その代償を払わなければなりません!」

田中晴香は全身を震わせ、膝が崩れそうになった。

学長室の外の学生たちは口々に言った。「泥棒が泥棒を捕まえようとしているようなものだね!」

「コネ入学した人を退学させろと言っていた人が、自分は3億円で入学していたなんて、よく高倉海鈴に文句が言えたものね?」

「副学長が自分の立場も顧みず、この事実を暴露したということは、間違いなく本当なんだろうね!」

「田中晴香は誰かが高倉海鈴を告発したと言っていたけど、きっと自分自身だったんでしょ!」

周りの嘲笑の声が室内に響き、田中晴香は気を失いそうになった。「松下達也さんが高倉海鈴を告発したんです。松下家の若旦那です。私は関係ありません!」

「松下達也って誰?私は彼のことを知らないのに、なぜ私を告発するの?」

高倉海鈴は微笑んで言った。「誰が告発したかは重要じゃないわ。今や真実が明らかになった。私は特別選抜で入学して、これからも先生を続けられる。でもあなたは退学になる。田中晴香、これこそが自業自得というものじゃないかしら。」

「だめ!私を退学させないで!高倉海鈴!覚えていなさい!」

結局、田中晴香は叫び声を上げながら引きずり出された。

誰もが予想もしなかった。田中晴香が高倉海鈴を告発したのに、最終的に自分が退学になるとは。