第328章 藤原若旦那は婚約者を変えた?

藤原涼介と高倉彩芽はすぐにホールに到着した。

記者たちは二人が出てくるのを見るや否や、カメラを構えて撮影を始めた。

藤原涼介が近づいて見ると、喜びに胸が躍った。前列には山下夫婦の他に、業界で有名な実業家たちが座っていた。彼らは皆、東京大学に寄付をしたことがある人々だった。

学長は顔を紅潮させながら言った。「皆様、こちらが寄付をしてくださった藤原若旦那です。」

「皆様は東京大学に貢献してくださった方々ですので、記念に一緒に写真を撮りませんか。」

一同が立ち上がり、熱心に藤原涼介と握手を交わした。

「まさに若き英雄ですね!藤原若旦那は若くしてこのような度量を持ち、一気に8000万円も寄付されました。これは史上二番目に多い寄付額です。一番は当然、藤原徹社長で、一度に2億円を寄付されましたからね!」

集合写真を撮る際、藤原涼介と高倉彩芽は端に立ち、皆はようやく藤原涼介が女性を連れてきていることに気付いた。

山下会長の隣にいた人物が高倉彩芽を見て、不思議そうに尋ねた。「藤原若旦那、この方は?」

藤原涼介は取り入るような表情で答えた。「私の婚約者の高倉彩芽です。このビルは私たち夫婦で共同寄付したもので、彼女は東京大学の学生であり、人気女優でもあります。」

高倉家は藤原家には及ばないものの、高倉彩芽は女優なので、これらの人々も多少の面子は立ててくれるはずだった。

しかし、言い終わるや否や、皆の表情が妙になった。

藤原涼介は居心地が悪そうで、高倉彩芽は唇を固く結んでいた。

まさか女優を軽蔑しているのだろうか?それはおかしい。山下の奥様も女優で、今も映画を撮影中なのに。

そのとき、ある実業家が口を開いた。「あなたの婚約者は、以前の方と違う人物ですね?」

山下の奥様は眉をひそめた。「先日まで藤原若旦那は婚約者と結婚すると聞いていましたが、どうして突然変わったのでしょうか?」

二人の声は小さく、藤原涼介と高倉彩芽には聞こえなかったが、耳の良い記者たちには聞こえていた。

同時に、この場面は生中継されている画面にも映し出されていた。

コメント欄は一瞬停止し、そして誰かが書き込んだ。【藤原涼介の婚約者は前の人と違うってことは、高倉彩芽は二人目?】

高倉彩芽の熱狂的なファンがすぐに反論した。【きっと勘違いよ、彩芽が藤原さまの婚約者に決まってるわ!】