「八尾さんがこのバイオリンを贈りたくないのでしたら、私は構いません。3億円でこのバイオリンを買い取らせていただきます。後ほど私の秘書が口座に振り込ませていただきます」
山下涼介が目配せをすると、秘書は頷いて言った。「四代目、すぐに手配いたします。2時間以内に3億円を八尾さんの口座にお振り込みいたします」
その言葉が終わるや否や、皆が嫌悪感を露わにして八尾夢子を見つめた。
その時、藤原明は驚いたふりをして言った。「まさか!今日は本当に勉強になりました。贈呈式を終えたばかりなのに、よくも金を要求できますね?」
人々は鼻で笑い、大声で議論し始めた。
「山下さんは八尾さんに二度も確認したじゃないですか。他人に贈っても良いかって。八尾さんはその時快く承諾したのに、今になって嫌だって。これはどういう人格ですか!」