高倉海鈴は眉を上げた。「あなたも調べたの?」
藤原徹は頷いた。「師妹、データを削除すれば私から隠せると思ったのか?」
高倉海鈴はくすりと笑った。
藤原徹は長い指でテーブルを軽く叩いた。「では、この八億円がどこから来たのか、もう分かっているはずだ」
高倉海鈴も非常に不思議に思っていた。彼女は静かに尋ねた。「藤原涼介の四億円は会社から出されたものよね。巨額の資金を流用するのは規則違反だけど、彼は社長だから、特に不思議なことじゃないわ」
海涼グループは彼女が一から立ち上げた会社だ。今は藤原涼介の手にあり、彼が四億円を流用しても、誰にも気付かれないはずだった。
でも高倉彩芽の四億円は……
高倉海鈴は疑問を感じた。「高倉彩芽が藤原明の口座からお金を流用したのよ。どうやってできたの?パスワードを知っていたの?」
藤原の次男の口座のパスワードが部外者に教えるはずがない。高倉彩芽はどうやってこの金を手に入れ、しかも誰にも気付かれなかったのか?
今でも藤原明は自分の口座から四億円が消えていることに気付いていない。
藤原徹の瞳は冷たさに満ちており、その言葉は高倉海鈴を驚愕させた。
「高倉彩芽にそんな能力はない。だが、彼女を助けられる人物がいる」
藤原徹は冷笑した。「藤原夫人、山田莉央だ」
高倉海鈴は「!!」
藤原夫人?
藤原夫人が高倉彩芽を手伝って、自分の実の息子の口座からお金を盗んだの?
藤原夫人は頭がおかしくなったの?息子から四億円を流用して、全く関係のない高倉彩芽に渡し、さらに大学に寄付させる?
藤原徹は嘲笑うように言った。「理由を知りたいか?」
彼はゆっくりと説明した。「お前が藤原涼介の元婚約者だと知っていたからだ。高倉彩芽を利用してお前を打ち負かそうとしている」
高倉海鈴は「……」
彼女には藤原夫人の考えが理解できなかった。敵の敵は味方だと思って、高倉彩芽と手を組んで彼女に対抗しようとしているの?
藤原徹はカップを置き、長い指で軽く叩いた。「そして、このお金は直接高倉彩芽には渡っていない。おそらく……」
彼は目を細め、嘲りと軽蔑に満ちた眼差しで「陸田進に渡ったはずだ」
陸田進!
高倉海鈴はすぐに理解した。