「『封神』?高倉彩芽はこの本を買うのにいくら使ったの?本当にお金持ちね!」
「お金の問題じゃないわ。彼女は国と東京大学のためにやったの。だから高倉家の方々と藤原涼介が彩芽のことをより好きなのも当然よ。確かに彩芽は海鈴より人に好かれやすいわ」
東京大学の幹部たちは全員が高倉彩芽に感謝の意を表し、金メッキのトロフィーを彼女に授与した。
「高倉彩芽さん、ご寄付に心より感謝申し上げます。東京大学は貴女を誇りに思います!高倉さんと藤原さんからご寄付いただいた彩涼別館は現在建設中で、完成後は館内の設備や機器も全て学生たちが使用できるようになります」
大きな拍手が沸き起こった。
彩芽は周りからの称賛の声を聞きながら、顔に笑みを浮かべた。
そう、確かに不倫をしたけど、それがどうした。涼介兄が優秀な女性を好きになって何が悪いの?
今では高倉家の広報が、海鈴があまりにも無能で藤原涼介に嫌われ、彩芽があまりにも優秀だったためにこのような事態になったと説明している。
彩芽の不倫は確かに間違っていたが、八億円も寄付したのだから、もう非難する余地はないだろう。
寄付式が終わりに近づいた時、彩芽はマイクを手に取り、微笑んで言った:
「東京大学の学生として、私は誇りに思います。芸能界にいる身ではありますが、母校のために出来る限りの貢献をしたいと思っています。確かに私は間違ったことをしました。申し訳ありません。特に姉に対して申し訳ない気持ちでいっぱいです。姉に許していただければと思います」
熱い視線が一斉に海鈴に向けられ、彼女の反応を待った。
今や彩芽の後ろには東京大学全体がついている。海鈴にまだ騒ぎ立てる余地があるのだろうか?
海鈴は暫く沈黙した後、冷静な表情で言った:「妹、許してあげるわ」
「お父様の言う通りね。私が優秀じゃないから、家族全員も婚約者も貴女のことを好きになったのよ。結局は私が劣っていて、貴女には及ばないということね」
彩芽は喜びに満ちた表情を浮かべた。
ついに海鈴が折れた。ついに自分より劣っていることを認めたのだ!
この女はとっくにそう気付くべきだった。彼女は本当にダメな人間で、正妻の娘という身分以外何も持っていない。捨てられて当然だわ。自業自得よ!