第402章 私の婚約者

高倉海鈴は微笑んで言った。「徹、行きましょう」

藤原徹は軽く頷き、静かに応えた。

藤原俊介は歯を食いしばり、二人を睨みつけた。本来なら進の身分を公表する予定だった誕生会が、藤原徹によって台無しにされ、今や皆が彼に莉央との離婚を迫っているのだ!

この機会に一家で正々堂々と一緒になるはずだったのに、今では進は藤原家に戻れても、莉央は見捨てられることになる!

「藤原徹!待て!」藤原俊介は怒りに燃えた。

高倉海鈴はゆっくりと振り返り、冷笑いを浮かべた。「藤原会長、時間があるなら早く離婚の手続きをした方がいいんじゃないですか?徹に八つ当たりしても意味がありませんよ」

この一言に藤原俊介は返す言葉もなかった。

当初の計画では、藤原家と陸田家が手を組んで、藤原徹に陸田汐の死の間接的な責任を認めさせ、相続権と全ての資産を手放させるはずだった。今は亡き陸田汐のことがあるため、陸田家と藤原家は親密になりすぎるわけにはいかない。

こんなことになるなら、あんな厄介者を残すべきではなかった!

……

10分後、高倉海鈴が藤原の本家を出て、門を出たところで、一人の男が近づいてきた。「高倉さん、少しお話できますか?」

陸田進は穏やかな表情で彼女を見つめた。

高倉海鈴は嘲笑うように言った。「結構です!」

「どうか機会をください」

陸田進は腰を曲げ、誠実そうな様子で言った。「悪意はありません。ただ重要なお話があるだけです。もし話の途中でご不快に感じられたら、いつでも帰っていただいて構いません」

高倉海鈴は嘲りの表情を浮かべた。「陸田若旦那、あなたとお話する勇気なんてありませんわ。自分の母親さえ見捨てるような人が、どんなことをするか分かりませんもの」

陸田進は怒る様子もなく、依然として微笑みを浮かべたまま。「……あなたのお祖父様のことについて、知りたくはありませんか?」

高倉海鈴の足が止まり、冷たい目を上げた。

陸田進はポケットから翡翠の首飾りを取り出し、掲げて揺らし、高倉海鈴に「霄」の文字がはっきりと見えるようにした。

「この翡翠の首飾りをご存知ですか?」

高倉海鈴の心が震えた。

間違いない、これは確かにお祖父様の翡翠の首飾りだ。山にいた人々は誰もお祖父様の名前を知らず、ただ「霄」の文字が刻まれた翡翠の首飾りを身につけていることだけを知っていた。