第438話 逆恨み

一夜にして、ネット上が大騒ぎになった。

まず、遠山初美と藤原財閥の確執が解消され、初めての協力関係を結び、藤原財閥が遠山初美の3年前のデザイン「夢回」を買い取り、次期シーズンの主力ジュエリーとして展開することになった。

一方、八尾夢子は優勝こそ逃したものの、彼女と遠山初美の弟子ジェイソンの作品がサニーデイの主力商品として生産されることになった。

そして最後の一件は……

朝方、高倉海鈴は騒がしい着信音で目を覚ました。

木村香織の焦った声が電話から聞こえてきた。「こんな時に寝てる場合じゃないでしょう!あのジェイソンが……八尾夢子と一緒にあなたを訴えるって!」

高倉海鈴は茫然とした表情で、頭の中はまだ混沌としていた。

木村香織は歯ぎしりしながら怒りを露わにした。「ジェイソンが、あなたがコンテストで優勝した作品は彼の以前のデザインの盗作だと言って、訴えると言ってるの!何てことを!もし彼がそんな完璧な作品をデザインできるなら、コンテストで負けるはずがないでしょう!」

高倉海鈴の目が次第に冴えてきた。

これは面白いことになった。彼女がまだ八尾夢子とジェイソンに清算をつけていないのに、彼らの方が先に噛みついてきたというわけか。

高倉海鈴はアカウントにログインすると、案の定、大量のメッセージが届いていた。

彼女はジェイソンのウェイボーを開き、眉をひそめた。

ウェイボーには2枚の写真が投稿されていた。1枚はジェイソンが提供したデザイン画、もう1枚は高倉海鈴がコンテストでデザインしたジュエリーで、確かに2枚の写真には多くの類似点があり、デザインコンセプトや色調も似ていた。

ジェイソンのこのデザイン画は『国際デザイン録』という雑誌に掲載されており、しかも3年前に発表されたものだった。

ジェイソンは写真に次のような文章を添えていた——

【このデザイン画は当初、私自身満足していませんでした。しかし国際デザイン録の担当者が私に連絡してきて、デザイン画を掲載したいと言ってきたので、完成したばかりのデザイン画を渡しました。ただ、この雑誌はあまり有名ではなかったため、多くの人が目にしていなかったのでしょう。そのため高倉さんに付け入る隙を与えてしまいました。】