第450章 闇とは即ち苦痛

「あそこに行きましょう」藤原徹が言った。

高倉海鈴は頷いて藤原徹の後について歩き始めた。歩けば歩くほど彼女の心は沈んでいった。藤原の祖母の住まいはすでに辺鄙な場所にあったが、藤原徹の住居はさらに奥にあり、しかも荒れ果てていて、人が住んでいるようには見えなかった。

藤原徹は世間には私生児として知られているが、藤原家に戻った当時は藤原俊介の唯一の息子だった。たとえ彼がこの息子を好きでなかったとしても、藤原徹の住まいをこんな人里離れた場所に建てるべきではなかった。

ここは藤原の本家の最北端にある住居で、誰も掃除に来た形跡がないようだった。入り口には葉の落ちた大きな木が二本あり、地面には落ち葉が散らばっていて、想像していた紅葉の木は一本もなかった。

高倉海鈴が目を上げると、二階建ての小さな建物が目に入った。建築の専門家でなくても、この建物の異様さは一目瞭然だった。灰色がかった色で、まるで内装工事前の建物のようだった。