第513章 あなたの部屋が欲しい!

高倉海鈴は彼女に向かって白目を向けた。「何を待ってるの?行きましょう!」

「……」久保真美は暗い表情を浮かべた。

この生意気な女は自分を使用人扱いしている。まさか命令口調で話しかけてくるなんて。

久保真美は高倉海鈴を地下室に案内しながら、いくつかの空き部屋を通り過ぎた。「妹、この部屋たちはどう思う?」

「ちっ、なんで私が地下室に住まなきゃいけないの?豪邸に住んだことはないけど、地下室は使用人の住むところで、二階三階が主人の住むところだってことくらい知ってるわ。久保家の方って変わってるわね、地下室に住むのが好きなんて」

久保真美は眉をひそめた。「妹、誤解よ。お父さんとお母さんは地下室には住んでないわ。まさか、あなた、両親を地下室に住まわせようっていうの?それは筋が通らないわ」

高倉海鈴は冷たい目で彼女を一瞥した。「へぇ、両親は地下室に住みたくないのね。じゃあ、なんで私を地下室に住まわせようとするの?あなたが好きなの?」

「私は久保家のお嬢様よ。私が地下室に住むってことは、久保家の人々が地下室好きってことになるでしょう?」

空気が一気に凍りついた。

高倉海鈴は涼しい顔で言った。「久保家の方が地下室に住むのが好きなら、姉さんは他の良い部屋がないか案内してくれるでしょう。だってこの部屋は気に入らないもの」

「本当に変ね、まともな家族なのに地下室に住むなんて!」

久保真美は顔色を悪くし、急いで反論した。「妹、何を言ってるの。久保家の人が地下室に住むわけないでしょう?」

高倉海鈴は足を止め、冷笑した。「好きじゃないなら、姉さん……なぜ私を地下室に連れてきたの?私が久保家のお嬢様として相応しくないと思ってるの?それとも私の立場を妬んで、意地悪したくて、久保家の本当のお嬢様を地下室に押し込めようとしてるの?」

久保真美は言葉に詰まった。「……」

高倉海鈴はまばたきをした。「そうじゃないなら、なぜ私をここに住まわせようとするの?」

久保真美は冷たい目つきで見つめた。この生意気な女は本当に扱いにくい。今、久保家に戻れただけでも幸せなのに、まだ満足できないの?

久保真美は怒りを抑えながら、歯を食いしばって言った。「でも……二階の部屋は満室なの」