第495章 狐の尻尾を隠しなさい

監督とプロデューサーの顔色が一変した。

青山博之は言い終わるとすぐに立ち去り、監督は慌てて追いかけた。「青山さん、怒らないでください。確かに契約書にはこの役は必ずあなたの同意が必要だと書いてありますが...久保さんだって他人じゃありませんよ!知り合いじゃないですか?それに彼女は久保家のお嬢様で、この役を演じたいと言ってくれて、さらに投資もしてくれるんです。映画の興行収入も上がるはずで、私たちにとってもいいことばかりなんです。」

「それに、もう半分撮影が終わっているのに、今抜けてしまったら映画が台無しになってしまいます。今から新しい俳優を探すのも間に合わないし、この損失も...」

青山博之の弁護士が近づいてきて、冷たく答えた。「いかなる損失も青山さんとは無関係です。伊藤監督、契約書には明確に書かれています。この役は青山さんが決定権を持つと。あなた方が契約違反をした以上、青山さんも約束を守る必要はありません。それに、青山さんは違約金も支払っており、十分な誠意を示しています。」

「伊藤監督、この件はどこで判断を仰いでも、撮影クルーの契約違反は明らかです。久保さんの方が適任だとお考えなら、彼女からの資金で別の男優を探せばいいでしょう。」

「お前...青山博之!」伊藤監督は怒りで顔を真っ赤にした。

久保真美が出てきて、落ち着いた様子で言った。「青山さん、この映画はもう半分撮影が終わっていて、スタッフ全員の努力が詰まっています。新人のために降板するなんて、もったいないと思います。それに私はこの役を本当に...」

「ふん!お前に口を挟む資格があるのか?」青山博之は冷笑し、軽蔑の眼差しで見た。「久保さん、偽物は永遠に本物にはなれない。賢明なら、その狐の尻尾は隠しておくべきだ。余計なことをすれば、いずれ代償を払うことになるぞ。」

「好きなだけ傲慢に振る舞えばいい。その名家の王女という仮面がどれだけ持つか、見物だ。せいぜい気をつけることだな。」

久保真美は息を呑み、一瞬にして顔が青ざめた。

青山博之が...あの件を知っているなんて。

でも構わない。彼女は父や母、兄と何年も一緒に暮らしてきた。彼らは決して彼女を見捨てたりしない。