第523章 彼女には大切な家族がいる

「パーティーなんかに出る場合じゃないでしょう！お兄さんを助けることの方が大事よ！」夏目彩美は不機嫌そうに遮った。「パーティーに参加させるために連れてきたと思ってるの？来ても来なくてもどうでもいいのよ。もう顔を出したんだから、青山家も何も言わないでしょう」

「言っておくけど、今日は何が何でも藤原社長に和解させないといけないの。これはあなたのせいなのよ。警察に通報さえしなければ、お兄さんが逮捕されることもなかったはずでしょう。だからこの件は、あなたが解決しなければならないの！」

高倉海鈴は冷ややかな表情で言った。「パーティーに来て、青山家で姿を消すのは、お二人にとっては何の影響もないでしょうが、噂が広まれば私の評判が悪くなりますよ」

久保統は言葉に詰まった。

夏目彩美は怒りを抑えきれず叫んだ。「あなたの評判なんてどうでもいいでしょう！あなたは久保家を代表する存在じゃないのよ。今は真美とお兄さんの評判が一番大事なの！」

「あなたは田舎育ちで礼儀知らずの粗野な人間よ。いい評判なんて期待してないわ。みんなのために犠牲になるのが一番いいでしょう。他に何か言い分があるの？早く行きなさい！」

高倉海鈴の表情が冷たくなり、隅に立っている山本執事を見上げて冷淡に頷いた。「わかりました」

「久保の奥様...」彼女が立ち去ろうとした時、突然足を止め、振り返って言った。「すぐに戻ってきます。その時はあまり驚かないでくださいね」

夏目彩美は眉をひそめた。「早く行きなさい！そんな意味ありげな態度を取らないで。何をするつもりか知らないけど！」

久保真美は急いで言った。「お母さん、妹は多分気分を害しているんだと思います。パーティーに連れてくると言っておきながら、顔を出させないから、気分を悪くしているんでしょう。両親が自分を差別していると感じているのかも...」

彼女は困ったような表情を浮かべた。「実際、お兄さんの件も妹のせいですし、そうでなければ逮捕されることもなかったはずです。だから彼女がこの件の責任を取るべきで、お父さんとお母さんのやり方は間違っていないと思います」

夏目彩美は満足げに頷いた。「ほら、うちの真美はなんて分かり者なの。さあ、中に入りましょう」

その時、高倉海鈴は既に隅まで歩いていた。