第508章 久保家が訪ねてくる

久保の奥様は怒り爆発寸前で、久保お父さんは眉をひそめた。「海鈴と認知しなければ、どうやって息子を救うんだ?どうやって和解させるんだ?」

久保の奥様は言葉に詰まり、顔を真っ赤にした。

そのとき、久保真美は涙を拭いながら、か弱く言った。「やっぱり妹と認知した方が...いいと思います。実は私...ずっと妹が欲しかったんです。それに、お父さんとお母さんの実の子供なのに、外で暮らしているのは良くないと思います。」

久保の奥様は真美がそんなことを言うとは思わず、より一層心配になった。「私の可愛い真美は本当に良い子ね。全体のことを考えられて。でも、あなたが辛い思いをするのが心配なの。」

久保お父さんはため息をつきながら言った。「どうあれ、一度行かなければならない。たとえ海鈴と認知しなくても、姉の秋に感謝しなければならない。あの時、海鈴を救い、東京で育ててくれたのだから。今やっと秋の居場所が分かったのだから、夏目家にも説明をしなければならない。」

「それに当主が言ったでしょう。必ず海鈴を連れ戻すようにと。認知しないというのは当主の命令に背くことになる。」

久保の奥様は震え、先ほどの興奮が収まり、冷静になって考えると不適切だと感じた。そして恨めしそうに言った。「いいわ!久保家に戻すのは構わないけど、久保家のお嬢様は真美でなければならない!あの子は野良猫同然、久保家に戻ったとしても真美の上に立とうなんて思わないで。久保家に戻れるだけでも十分な幸せなのよ。」

久保真美が口を開いた。「お母さん、でも彼女は...」

「実の子供だからって何になるの!私は彼女に何の愛情も感じない。それに、まだ久保家に戻ってもいないのに、こんなに問題を起こすなんて。私から見れば縁起の悪い子よ。私の娘なんかじゃない。たとえ久保家に戻っても、私は決して実の娘だとは認めないわ!」

久保真美は目を伏せ、冷たく笑った。

予想通り、お母さんは海鈴を受け入れないだろう。結局、海鈴は久保家を傷つけ、そして兄を逮捕させてしまったのだから。たとえ海鈴が久保家に戻っても、受け入れられることはないだろう。

その時、海鈴は彼女の秘密基地、クロシオとしての住まいに戻っていた。それは古いアパートで、小さくて古びていたが、人々で溢れており、様々な職業の人々が住んでいた。