第531章 色白で美人で長い脚

その場の雰囲気は一気に気まずくなり、夏目彩美と久保真美の口元が微かに引き攣った。

夏目彩美は心の中の怒りを必死に抑えながら、歯を食いしばって言った。「言っておくけど、高倉海鈴、今離婚しないと、いつか必ず後悔することになるわよ!」

久保真美も懇々と諭すように言った。「妹、ママはあなたが傷つくのが心配なの。どうしてそれを拒むの?あなたと藤原社長は本当に合わないわ。もっと優秀な女性と結婚するべきよ」

高倉海鈴は呆れて笑い、眉を上げながら言った。「その優秀な女性ってあなたのこと?あなたが藤原徹と結婚したいの?だから久保の奥様が宴会で、あなたが藤原徹を慕っていると公に宣言したわけ?」

夏目彩美は正論を振りかざすように言った。「真美は良家のお嬢様よ。あなたは田舎育ちで粗野そのもの。今は藤原社長があなたに少し興味を持っているけど、それはただあなたが多少の容姿を持っているからよ。数年経てば、彼は完全に飽きてしまう。藤原社長はあなたなんて見向きもしなくなるわ。でも真美は違う。彼女には教養も手腕もある。男性の心を掴んで離さない術を知っているの。藤原社長を完全に虜にできるわ」

ふざけるな!

外にいた高野広は思わず唾を吐いた。

高倉海鈴は冷たい目で夏目彩美を見つめ、「随分と自信があるのね!」

夏目彩美は高倉海鈴が自分を嘲笑っていることを悟り、顔色が青ざめた。

久保真美は暫く沈黙した後、優しく口を開いた。「妹、実は私、ずっと前から藤原社長のことが好きだったの。ママはそれを知って、私が叶わぬ恋に苦しむのを見かねて、あなたに離婚を勧めたのよ」

「それに、あなたと藤原社長は合わないわ。後で傷つくくらいなら、早めに離婚して損失を最小限に抑えた方がいい。それに、あなたにはもともと婚約者がいるでしょう。藤原社長と結婚するのは相応しくないわ。藤原社長を私に譲ってくれない?」

高倉海鈴は目を見開き、この母娘の厚かましさに呆れ返った。

高倉海鈴だけでなく、久保真美が社長を譲れと要求するのを聞いた高野広も、中に飛び込んで彼女を殴りたい衝動に駆られた。